“完全自社施工”の看板の裏で——下請け任せの塗装会社に潜むリスクと、施工会社を選ぶという大切な判断
住宅の外壁塗装や屋根塗装を考えるとき、私たちはどうしても“価格”に目を奪われがちだ。複数社から見積もりを取り、金額の差に驚き、つい安いところへ心が揺らいでしまう。しかし、外壁塗装というのは「安ければ成功」では決してない。むしろ、安さの裏側には、一般の消費者が想像もしない構造が潜んでいる。そして、そこには施工不良という深刻なリスクがある。
特に近年、多くのトラブルが報告されているのが、“完全自社施工”とアピールしていながら、実際は下請け職人に安い金額で施工を丸投げしている塗装会社の存在だ。この問題は業界内部では以前から知られてきたが、一般の消費者にはなかなか見えにくい。そのため、一見すると誠実そうな会社でも、実際に塗っているのは契約した会社のスタッフではないケースが珍しくない。
では、なぜ“完全自社施工”と謳いながら下請けに任せる会社が存在するのか。そして、その構造がどのようなトラブルを生むのか。さらに、私たち消費者はどのようにして信頼できる施工会社を見極めればいいのか。本稿では、その実態とリスクを、できるだけ分かりやすく掘り下げていくことにする。
■ “完全自社施工”の言葉が持つ甘美な響き
「完全自社施工」という言葉には、施主にとって非常に魅力的な響きがある。下請けを使っていない。つまり職人が自社の社員であり、教育も管理も会社が責任を持って行う。だから安心という理屈だ。
実際、誠実な工務店や塗装会社はこの言葉を正しく使っている。職人を社員として雇い、自社で育て、責任施工を徹底する。こうした会社は確かに存在するし、そうした会社に依頼できれば安心度は非常に高い。
しかし問題は、“完全自社施工”という言葉が非常に売り文句として強力であるため、それを悪用する企業が出てきてしまったことだ。
■ “完全自社施工と書いてあるのに実態は下請け”という矛盾
実際によくあるケースは次のようなものだ。
ホームページやチラシでは「うちは完全自社施工です!」と大々的に掲載。
営業マンも「施工スタッフはすべて自社の職人です」と胸を張る。
しかし、蓋を開けてみれば実際に現場に来るのは全く別の会社の職人。ひどい場合は、作業初日に職人同士が名刺交換をしている……なんて話もある。
なぜそんなことが起きるのか。理由は単純で“利益構造”にある。
■ 下請けに投げれば儲かる——その構造の危うさ
塗装工事は、契約金額の中から「材料費」と「人工(じんく=人件費)」が大きな割合を占める。
本来、職人を自社で雇い、社会保険も払い、教育や管理を行うとなると、当然コストがかかる。
ところが、下請けに任せてしまえばそのコストは不要になる。
極端に言えば、契約金額の半額以下で下請け業者に投げることさえ可能だ。
例えば……
•施主が支払う金額:120万円
•元請け(表向きの塗装会社)の取り分:60万円
•下請け職人に渡る金額:60万円
•下請けはその中から材料費・人件費…すべてを賄わなければいけない
こうなると、下請け側は“赤字を出さないための施工”しかできなくなる。
つまり、必要な工程を削ったり、材料を薄めたり、乾燥時間を短縮したり、手抜きを誘発する構造が生まれてしまうのだ。
下請け職人は決して悪者ではない。
問題は、無理な金額で仕事を請けさせている“元請け”の責任だ。
■ 下請けに丸投げの現場で何が起きるのか
下請けに安い金額で投げると、次のような問題が発生しやすくなる。
● ① 工程の省略
本来、外壁塗装には
・高圧洗浄
・下地処理
・下塗り
・中塗り
・上塗り
といった必要工程がある。
しかし、低価格で請けざるを得ない下請けは「時間が足りない」「予算が合わない」という理由で工程を飛ばしてしまうことがある。
● ② 乾燥時間を守らない
塗料は乾燥時間を守らなければ強度が出ない。
にもかかわらず、1日でも工期を早めたいがために、半乾きの状態で次の塗りを重ねることがある。その結果……
・剥がれ
・膨れ
・ひび割れ
といったトラブルが数年以内に発生する。
● ③ 質の悪い塗料の使用
施主が契約した塗料とは別の、より安い塗料に“すり替え”られるケースもある。
なぜそんなことが起きるのかといえば、元請けが中間マージンを取り過ぎてしまい、下請けに“良い塗料を使う余裕がない”ためだ。
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■ 施工不良の責任は誰が取るのか?
ここが最も厄介な点である。
施主は元請けの塗装会社と契約している。
しかし、実際に施工したのは下請け。
施工不良が起きた場合、下請けは
「元請けから安い金額で仕事を押し付けられただけだ」
と主張する。
元請けは
「現場の作業は下請けが行ったので、自社には責任がない」
と言い逃れをするケースもある。
結果、施主が完全に板挟みになるのだ。
トラブル事例として多いのは……
•保証が適用されない
•補修工事に応じてもらえない
•補修に来てもらっても同じ下請けが手抜きを繰り返す
というものだ。
最終的には泣き寝入りする消費者も少なくない。
■ なぜ悪質な“自社施工詐欺”が増えたのか
背景には次のような業界事情がある。
① インターネット集客の激化
広告費を多く使う会社ほど目立つ。
しかし、広告費は経費として施工金額に上乗せされる。
② 職人不足
全国的に職人が不足しており、外部の下請けに頼らざるを得ない会社が増えている。
③ 消費者が実態を確認しづらい
実際に現場に来る職人がどこの会社の人なのか、工事が始まるまで分からない。
この“見えにくさ”がトラブルを助長する。
■ 信頼できる施工会社を見極めるためのチェックポイント
では、私たちはどうすれば危険な塗装会社に引っかからずに済むのか。
以下は、業界経験者がよく挙げる見極めポイントである。
① 現場に来る職人の所属を確認する
契約前に「施工する職人は御社の社員ですか?」と必ず確認する。
② 職人の名前や人数を事前に書面でもらう
誠実な会社は隠す必要がない。
③ “自社施工”の証拠を見せてもらう
・会社に所属職人の顔写真がある
・社名入りの車や道具を使っている
これらは健全な会社では当たり前のことだ。
④ 施工管理者が現場に毎日来るか確認する
管理が甘い会社ほどトラブルが増える。
⑤ 極端に安い見積もりを警戒する
中間マージンを取って安く下請けに投げているサイン。
⑥ 保証内容の“施工者責任”を明記しているか
不誠実な会社ほど曖昧な保証書を出す。
■ 良い会社は“現場を見れば分かる”
実際、信頼できる塗装会社を見分ける最も簡単な方法がある。
それは、現場の雰囲気を見ることだ。
•周囲への配慮が行き届いているか
•足場や養生が丁寧か
•職人の挨拶や態度が良いか
•道具が整理されているか
これらは技術と同じくらい重要だ。
良い職人は必ず“現場が美しい”。
仕事そのものへの誇りが、現場に表れるのだ。
■ 施工会社を選ぶことは、家を守ることであり、家族を守ること
外壁塗装は10年、15年に一度の大きな工事であり、安いものではない。
にもかかわらず、施工会社選びの基準を曖昧にしたまま契約してしまう施主は非常に多い。
しかし、家は住む人の生活を守る“シェルター”だ。
適切な塗装をしなければ、防水性が低下し、住宅の劣化が一気に進む。
外壁の剥離や膨れは、雨水の侵入につながり、内部の木材腐食やシロアリリスクさえ生む。
だからこそ、施工会社選びは
“価格”よりも
“誰が塗るか”を重視すべきなのだ。
“完全自社施工”という言葉に惑わされてはいけない。
大事なのは、「実態としてどうなのか」である。
■ 最後に——見えない部分こそ、慎重に
塗装工事というのは、完成直後はどの会社がやっても美しく見える。
だが、数年経てば差が出る。
そしてその差は、施工会社の本質を映し出す鏡だ。
外壁塗装の成功は
「どこの会社に頼むか」
ではなく
「どんな職人が施工するか」
で決まる。
だからこそ、私たち消費者は、看板の言葉に惑わされず、実態を見極めなければならない。
信頼できる会社は必ず存在する。そしてそうした会社は必ず“誠実さ”で見分けがつく。
“完全自社施工”の裏に隠れた構造を知ることは、家を守るための第一歩である。
そして慎重に選ぶことこそが、後悔しない唯一の方法なのです。
弊社は自社施工店ですので塗装を検討する
際には候補の一つとしてお問い合わせ下さい。
特に近年、多くのトラブルが報告されているのが、“完全自社施工”とアピールしていながら、実際は下請け職人に安い金額で施工を丸投げしている塗装会社の存在だ。この問題は業界内部では以前から知られてきたが、一般の消費者にはなかなか見えにくい。そのため、一見すると誠実そうな会社でも、実際に塗っているのは契約した会社のスタッフではないケースが珍しくない。
では、なぜ“完全自社施工”と謳いながら下請けに任せる会社が存在するのか。そして、その構造がどのようなトラブルを生むのか。さらに、私たち消費者はどのようにして信頼できる施工会社を見極めればいいのか。本稿では、その実態とリスクを、できるだけ分かりやすく掘り下げていくことにする。
■ “完全自社施工”の言葉が持つ甘美な響き
「完全自社施工」という言葉には、施主にとって非常に魅力的な響きがある。下請けを使っていない。つまり職人が自社の社員であり、教育も管理も会社が責任を持って行う。だから安心という理屈だ。
実際、誠実な工務店や塗装会社はこの言葉を正しく使っている。職人を社員として雇い、自社で育て、責任施工を徹底する。こうした会社は確かに存在するし、そうした会社に依頼できれば安心度は非常に高い。
しかし問題は、“完全自社施工”という言葉が非常に売り文句として強力であるため、それを悪用する企業が出てきてしまったことだ。
■ “完全自社施工と書いてあるのに実態は下請け”という矛盾
実際によくあるケースは次のようなものだ。
ホームページやチラシでは「うちは完全自社施工です!」と大々的に掲載。
営業マンも「施工スタッフはすべて自社の職人です」と胸を張る。
しかし、蓋を開けてみれば実際に現場に来るのは全く別の会社の職人。ひどい場合は、作業初日に職人同士が名刺交換をしている……なんて話もある。
なぜそんなことが起きるのか。理由は単純で“利益構造”にある。
■ 下請けに投げれば儲かる——その構造の危うさ
塗装工事は、契約金額の中から「材料費」と「人工(じんく=人件費)」が大きな割合を占める。
本来、職人を自社で雇い、社会保険も払い、教育や管理を行うとなると、当然コストがかかる。
ところが、下請けに任せてしまえばそのコストは不要になる。
極端に言えば、契約金額の半額以下で下請け業者に投げることさえ可能だ。
例えば……
•施主が支払う金額:120万円
•元請け(表向きの塗装会社)の取り分:60万円
•下請け職人に渡る金額:60万円
•下請けはその中から材料費・人件費…すべてを賄わなければいけない
こうなると、下請け側は“赤字を出さないための施工”しかできなくなる。
つまり、必要な工程を削ったり、材料を薄めたり、乾燥時間を短縮したり、手抜きを誘発する構造が生まれてしまうのだ。
下請け職人は決して悪者ではない。
問題は、無理な金額で仕事を請けさせている“元請け”の責任だ。
■ 下請けに丸投げの現場で何が起きるのか
下請けに安い金額で投げると、次のような問題が発生しやすくなる。
● ① 工程の省略
本来、外壁塗装には
・高圧洗浄
・下地処理
・下塗り
・中塗り
・上塗り
といった必要工程がある。
しかし、低価格で請けざるを得ない下請けは「時間が足りない」「予算が合わない」という理由で工程を飛ばしてしまうことがある。
● ② 乾燥時間を守らない
塗料は乾燥時間を守らなければ強度が出ない。
にもかかわらず、1日でも工期を早めたいがために、半乾きの状態で次の塗りを重ねることがある。その結果……
・剥がれ
・膨れ
・ひび割れ
といったトラブルが数年以内に発生する。
● ③ 質の悪い塗料の使用
施主が契約した塗料とは別の、より安い塗料に“すり替え”られるケースもある。
なぜそんなことが起きるのかといえば、元請けが中間マージンを取り過ぎてしまい、下請けに“良い塗料を使う余裕がない”ためだ。
⸻
■ 施工不良の責任は誰が取るのか?
ここが最も厄介な点である。
施主は元請けの塗装会社と契約している。
しかし、実際に施工したのは下請け。
施工不良が起きた場合、下請けは
「元請けから安い金額で仕事を押し付けられただけだ」
と主張する。
元請けは
「現場の作業は下請けが行ったので、自社には責任がない」
と言い逃れをするケースもある。
結果、施主が完全に板挟みになるのだ。
トラブル事例として多いのは……
•保証が適用されない
•補修工事に応じてもらえない
•補修に来てもらっても同じ下請けが手抜きを繰り返す
というものだ。
最終的には泣き寝入りする消費者も少なくない。
■ なぜ悪質な“自社施工詐欺”が増えたのか
背景には次のような業界事情がある。
① インターネット集客の激化
広告費を多く使う会社ほど目立つ。
しかし、広告費は経費として施工金額に上乗せされる。
② 職人不足
全国的に職人が不足しており、外部の下請けに頼らざるを得ない会社が増えている。
③ 消費者が実態を確認しづらい
実際に現場に来る職人がどこの会社の人なのか、工事が始まるまで分からない。
この“見えにくさ”がトラブルを助長する。
■ 信頼できる施工会社を見極めるためのチェックポイント
では、私たちはどうすれば危険な塗装会社に引っかからずに済むのか。
以下は、業界経験者がよく挙げる見極めポイントである。
① 現場に来る職人の所属を確認する
契約前に「施工する職人は御社の社員ですか?」と必ず確認する。
② 職人の名前や人数を事前に書面でもらう
誠実な会社は隠す必要がない。
③ “自社施工”の証拠を見せてもらう
・会社に所属職人の顔写真がある
・社名入りの車や道具を使っている
これらは健全な会社では当たり前のことだ。
④ 施工管理者が現場に毎日来るか確認する
管理が甘い会社ほどトラブルが増える。
⑤ 極端に安い見積もりを警戒する
中間マージンを取って安く下請けに投げているサイン。
⑥ 保証内容の“施工者責任”を明記しているか
不誠実な会社ほど曖昧な保証書を出す。
■ 良い会社は“現場を見れば分かる”
実際、信頼できる塗装会社を見分ける最も簡単な方法がある。
それは、現場の雰囲気を見ることだ。
•周囲への配慮が行き届いているか
•足場や養生が丁寧か
•職人の挨拶や態度が良いか
•道具が整理されているか
これらは技術と同じくらい重要だ。
良い職人は必ず“現場が美しい”。
仕事そのものへの誇りが、現場に表れるのだ。
■ 施工会社を選ぶことは、家を守ることであり、家族を守ること
外壁塗装は10年、15年に一度の大きな工事であり、安いものではない。
にもかかわらず、施工会社選びの基準を曖昧にしたまま契約してしまう施主は非常に多い。
しかし、家は住む人の生活を守る“シェルター”だ。
適切な塗装をしなければ、防水性が低下し、住宅の劣化が一気に進む。
外壁の剥離や膨れは、雨水の侵入につながり、内部の木材腐食やシロアリリスクさえ生む。
だからこそ、施工会社選びは
“価格”よりも
“誰が塗るか”を重視すべきなのだ。
“完全自社施工”という言葉に惑わされてはいけない。
大事なのは、「実態としてどうなのか」である。
■ 最後に——見えない部分こそ、慎重に
塗装工事というのは、完成直後はどの会社がやっても美しく見える。
だが、数年経てば差が出る。
そしてその差は、施工会社の本質を映し出す鏡だ。
外壁塗装の成功は
「どこの会社に頼むか」
ではなく
「どんな職人が施工するか」
で決まる。
だからこそ、私たち消費者は、看板の言葉に惑わされず、実態を見極めなければならない。
信頼できる会社は必ず存在する。そしてそうした会社は必ず“誠実さ”で見分けがつく。
“完全自社施工”の裏に隠れた構造を知ることは、家を守るための第一歩である。
そして慎重に選ぶことこそが、後悔しない唯一の方法なのです。
弊社は自社施工店ですので塗装を検討する
際には候補の一つとしてお問い合わせ下さい。